企業にとって、インターネット上の誹謗中傷や風評被害は、放置すると事業継続を脅かす深刻なリスクとなります。売上低下、ブランドイメージ毀損、採用難、取引先からの信用失墜など、その影響は計り知れません。本記事では、こうした誹謗中傷を放置した場合のリスクを明確にし、企業が取るべき具体的な誹謗中傷対策を網羅的に解説します。
この記事を読むことで、誹謗中傷を発見した際の初期対応から、投稿の削除請求、発信者情報開示請求、損害賠償請求といった段階別の法的措置、さらに弁護士や専門対策会社に依頼する際の費用相場、適切な相談先の選び方まで、企業が自社のブランドと利益を守るための具体的な知識と行動指針を得られます。誹謗中傷は放置せず、早期かつ適切な対策こそが、企業を守る唯一の道です。
企業の誹謗中傷を放置するリスクと風評被害の実態
インターネット上での誹謗中傷は、一度拡散されると企業の存続を揺るがすほどの深刻なダメージを与えかねません。放置することでどのような具体的なリスクが生じるのかを理解し、早期の対策につなげることが重要です。
売上低下やブランドイメージの毀損
企業の誹謗中傷は、消費者の購買意欲を直接的に低下させます。悪評が広まることで、新規顧客の獲得が困難になるだけでなく、既存顧客の離反を招き、結果として売上の大幅な減少につながります。
また、企業の製品やサービスに対する信頼が損なわれ、長年培ってきたブランドイメージが回復困難なほどに毀損されることも珍しくありません。一度失われた信頼を取り戻すには、多大な時間とコストがかかります。
採用活動への悪影響と人材流出
インターネット上の誹謗中傷は、企業の採用活動にも深刻な影響を及ぼします。求職者は応募前に企業の評判を検索することが一般的であり、ネガティブな情報が散見される企業への応募をためらう傾向にあります。これにより、優秀な人材の確保が極めて困難になります。
さらに、企業に対する悪評は、現職の従業員のモチベーションを低下させ、会社への帰属意識を損ないます。結果として、大切な人材の流出を招き、企業の生産性や競争力の低下に直結するリスクもはらんでいます。
取引先からの信用失墜
企業に対する誹謗中傷は、顧客だけでなく、取引先からの信用をも失墜させます。取引先は、評判の悪い企業との関係を継続することで、自社のイメージダウンやリスクを懸念するため、契約の見直しや新規取引の停止を検討する可能性があります。
特に、上場企業や大手企業の場合、株主からの信頼も重要です。誹謗中傷による風評被害は、株価の下落を招き、経営陣の責任問題に発展することもあります。また、金融機関からの融資審査にも悪影響を及ぼし、事業継続に支障をきたす恐れもあります。
| 関係者 | 具体的な影響 |
|---|---|
| 取引先 | 契約の見直し、新規取引の停止、関係悪化 |
| 金融機関 | 融資審査への悪影響、資金調達の困難化 |
| 株主・投資家 | 株価の下落、企業価値の低下、投資見送りの判断 |
誹謗中傷を発見した際の企業の初期対応フロー
企業に対する誹謗中傷は、発見から初動対応までのスピードが非常に重要です。対応が遅れると、被害が拡大するだけでなく、証拠が失われ、その後の法的措置が困難になるリスクが高まります。ここでは、誹謗中傷を発見した際に企業が取るべき初期対応の具体的な手順を解説します。
事実確認と証拠の保全方法
誹謗中傷を発見したら、まず何よりも迅速に投稿内容の事実確認と証拠の保全を行う必要があります。これらの作業は、後の削除請求や発信者情報開示請求、損害賠償請求といった法的措置を講じる上で不可欠な基盤となります。
事実確認のポイント
投稿内容が事実と異なるのか、あるいは一部に事実が含まれているのかを正確に把握することが重要です。また、その投稿が企業活動にどのような影響を与え得るのかを評価します。
- 投稿内容の真偽確認:記載されている情報が事実であるか、虚偽であるかを社内で確認します。
- 影響範囲の評価:投稿がどれくらいの閲覧者に到達しているか、拡散状況(リツイート、シェアなど)を確認し、風評被害の規模を把握します。
- 対象プラットフォームの特定:SNS、匿名掲示板、ブログ、口コミサイトなど、投稿されたウェブサイトやサービスを特定します。
証拠の保全方法
証拠は、将来的な法的措置の際にその有効性を認められるよう、客観的かつ改ざんが困難な方法で保全することが求められます。以下に、具体的な保全方法と取得すべき情報をまとめます。
| 保全すべき情報 | 取得方法と注意点 | 法的有効性への影響 |
|---|---|---|
| 投稿日時 | 投稿がされた正確な日時を記録します。スクリーンショットや魚拓に表示されていることを確認します。 | 投稿の存在時期を証明し、時効の起算点などに関わります。 |
| 投稿のURL | 投稿が掲載されているウェブページのURLを正確に記録します。誤字脱字がないか確認します。 | 投稿の場所を特定し、サイト運営者への削除依頼や発信者情報開示請求の際に必要不可欠です。 |
| 投稿内容全体 | テキスト、画像、動画など、投稿された全てのコンテンツを保全します。 | 誹謗中傷の内容、表現、文脈を正確に把握するために重要です。 |
| 投稿者情報 | 投稿者のアカウント名、ID、ハンドルネームなどを記録します。匿名投稿であっても、表示されている情報を全て残します。 | 発信者情報開示請求の際に、対象となる投稿者を特定するための重要な手掛かりとなります。 |
| スクリーンショット | 投稿画面全体を撮影し、URL、投稿日時、投稿者情報、投稿内容が全て写っていることを確認します。複数回、異なる時間帯で撮影し、連続性を持たせることで信憑性が高まります。 | 投稿の存在とその内容を視覚的に証明する最も一般的な方法です。改ざん防止のため、撮影日時が自動的に記録されるツールを使用することも有効です。 |
| ウェブ魚拓(Web魚拓) | ウェブアーカイブサービスを利用し、投稿ページの「魚拓」を取得します。 | 投稿が削除された後でも、その内容を証明できる強力な証拠となります。 |
| 閲覧者数・拡散状況 | 投稿の閲覧数、いいね、リツイート、コメントなどの反応も記録します。 | 誹謗中傷の影響度や拡散力を示す客観的な証拠となり、損害賠償額の算定にも影響する可能性があります。 |
これらの証拠保全は、企業内の担当者だけでなく、必要に応じてデジタルフォレンジックの専門業者や弁護士に依頼することも検討すべきです。専門家は、法的有効性の高い方法で証拠を収集・保全し、その後の手続きを円滑に進めるためのアドバイスを提供してくれます。
社内での情報共有と対応方針の決定
誹謗中傷の発見と証拠保全が完了したら、次に社内での迅速な情報共有と、統一された対応方針の決定が求められます。場当たり的な対応は、かえって事態を悪化させる可能性があるため、関係部署と連携し、慎重に方針を定める必要があります。
関係部署への情報共有
誹謗中傷の内容や影響度に応じて、以下の部署へ速やかに情報を共有し、連携体制を構築します。
- 経営層:企業全体のリスク管理と最終的な意思決定のため、最も早く報告すべきです。
- 法務部:法的リスクの評価、削除請求や発信者情報開示請求などの法的措置の検討と実行を担当します。
- 広報部:外部への情報発信、メディア対応、ステークホルダーへの説明責任を担います。沈黙するのか、公式見解を出すのかなど、対外的なメッセージの検討が必要です。
- 人事部:従業員への影響(士気の低下、採用活動への悪影響など)を考慮し、内部的なケアや情報共有を検討します。
- 情報システム部:必要に応じて、ログの確認やシステム的な対応を検討します。
これらの部署間で、共有された情報を基に現状認識を統一し、今後の対応について協議する場を設けることが重要です。
対応方針の決定
対応方針は、誹謗中傷の内容、企業への影響度、証拠の有無、法的な実現可能性などを総合的に考慮して決定します。主な選択肢としては以下のものが挙げられますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
- 静観(放置):内容が軽微で拡散性が低い場合や、反論することでかえって注目を集めてしまう「炎上」のリスクがある場合に選択されることがあります。しかし、放置することで事実として受け止められたり、さらなる誹謗中傷を誘発したりするリスクもあります。
- 削除請求:誹謗中傷の投稿そのものをインターネット上からなくすことを目指します。最も直接的な被害軽減策ですが、削除されたとしても、内容が拡散されている場合は完全に消し去ることは困難です。
- 反論・説明:事実誤認や誤解に基づく誹謗中傷に対して、企業の公式見解を表明し、正確な情報を提供する対応です。ただし、感情的な反論は避けるべきであり、客観的な事実に基づいた冷静な説明が求められます。
- 発信者情報開示請求・損害賠償請求・刑事告訴:匿名投稿者に対して法的責任を追及し、再発防止と損害の回復を図る最終的な法的措置です。時間と費用がかかるため、その必要性と効果を慎重に検討する必要があります。
いずれの方針を選択するにしても、一貫性のあるメッセージを社内外に発信できるよう、事前に綿密な計画を立て、関係者間で合意形成を行うことが不可欠です。また、対応の進捗状況に応じて、柔軟に方針を見直す体制も整えておくべきでしょう。
【段階別】誹謗中傷対策の具体的な法的措置
企業に対する誹謗中傷がインターネット上に存在する場合、その対応は段階的に進めることが効果的です。まず、被害の拡大を防ぐための削除から始め、次に加害者を特定し、最終的に損害賠償や刑事責任を追及する、という流れが一般的です。ここでは、各ステップで利用できる具体的な法的措置について詳しく解説します。
ステップ1 投稿の削除請求
インターネット上に掲載された誹謗中傷の投稿は、放置すれば企業の信用やブランドイメージに甚大な被害をもたらします。そのため、最も迅速に行うべきは、問題の投稿をインターネット上から削除することです。
サイト運営者への任意での削除依頼
誹謗中傷の投稿を発見した場合、最初の対応として、その投稿が掲載されているウェブサイトの運営者やプロバイダに対し、任意で削除を依頼する方法があります。多くのウェブサイトでは、利用規約に反する投稿や、他者の権利を侵害する投稿について、削除申請フォームや報告機能が設けられています。
企業自身で依頼することも可能ですが、弁護士を通じて法的な根拠に基づいた削除依頼書を送付することで、削除が認められる可能性が高まります。この際、どの情報が、どのような理由(名誉毀損、プライバシー侵害など)で、企業のどの権利を侵害しているのかを具体的に示すことが重要です。
送信防止措置仮処分の申し立て
サイト運営者への任意での削除依頼が認められない場合や、緊急性が高く、より迅速な対応が求められる場合には、裁判所に対し「送信防止措置仮処分」を申し立てる方法があります。これは、プロバイダ責任制限法に基づいて、裁判所がサイト運営者やプロバイダに対し、問題の情報の送信を停止するよう命じる手続きです。
仮処分は、通常の訴訟と比較して短期間で結論が出るため、被害の拡大を早期に食い止める上で非常に有効な手段です。申し立てには、投稿内容が企業の権利を侵害していること、そしてその権利侵害が明白であることを示す証拠が必要となります。弁護士に依頼することで、申立書の作成から裁判所での手続きまでを円滑に進めることができます。
ステップ2 発信者情報開示請求
誹謗中傷の投稿を削除するだけでなく、将来的な再発防止や損害賠償請求、あるいは刑事告訴を検討するためには、誹謗中傷を行った人物(発信者)を特定することが不可欠です。そのための手続きが「発信者情報開示請求」です。
投稿者を特定する手続きの流れ
発信者情報開示請求は、一般的に以下の二段階の手続きで進められます。
- コンテンツプロバイダへの情報開示請求: まず、誹謗中傷の投稿が掲載されているウェブサイトの運営者(コンテンツプロバイダ)に対し、投稿者のIPアドレスやタイムスタンプなどの情報を開示するよう請求します。任意での開示に応じてもらえない場合は、裁判所に仮処分を申し立てる必要があります。
- 経由プロバイダへの情報開示請求: 開示されたIPアドレスを基に、そのIPアドレスを投稿時に割り当てていたインターネットサービスプロバイダ(経由プロバイダ)に対し、契約者情報(氏名、住所、電話番号など)の開示を請求します。この段階でも任意での開示は稀であり、ほとんどの場合、裁判所に発信者情報開示請求訴訟を提起することになります。
これらの二段階の手続きを経て、ようやく誹謗中傷を行った人物の特定が可能となります。
2022年改正プロバイダ責任制限法のポイント
2022年10月1日に施行された改正プロバイダ責任制限法は、発信者情報開示請求の手続きを大幅に簡素化し、被害者にとって利用しやすい制度へと改善されました。この改正により、企業が誹謗中傷の加害者を特定するハードルが下がりました。主な改正点は以下の通りです。
| 項目 | 改正前の状況 | 改正後の状況 |
|---|---|---|
| 手続きの一元化 | サイト運営者とプロバイダへの2段階の手続きが必要。 | 裁判所を通じて一括して開示請求が可能に。(「発信者情報開示命令事件に関する裁判手続」の新設) |
| 電話番号開示 | 原則として電話番号の開示は困難。 | 特定の条件で電話番号の開示も可能に。 |
| 開示対象情報の拡大 | IPアドレスやタイムスタンプが主な開示対象。 | ログイン型サービスにおけるログイン時の情報なども対象に。 |
この改正により、これまで時間と費用がかかっていた発信者情報開示請求が、より迅速かつ効率的に行えるようになり、企業はよりスムーズに加害者を特定し、次の法的措置へ移行できるようになりました。
ステップ3 損害賠償請求と刑事告訴
誹謗中傷を行った人物が特定できた場合、企業は、被った損害の回復と、加害者への法的責任追及のために、民事上の損害賠償請求や刑事告訴を検討することができます。
民事上の損害賠償請求
特定した加害者に対し、誹謗中傷によって企業が被った損害の賠償を求めるのが民事上の損害賠償請求です。請求できる損害には、以下のようなものがあります。
- 逸失利益(誹謗中傷による売上減少や顧客離れなど)
- ブランドイメージ回復のための広告宣伝費や広報活動費
- 誹謗中傷対策に要した弁護士費用
- 慰謝料(法人格の社会的評価の低下に対する精神的苦痛)
損害賠償請求は、加害者との示談交渉から始めるのが一般的ですが、交渉がまとまらない場合は、裁判所に訴訟を提起することになります。具体的な損害額を立証するためには、誹謗中傷と損害の因果関係を示す詳細な証拠収集が非常に重要となります。
名誉毀損罪などでの刑事告訴
誹謗中傷の内容が悪質で、犯罪に該当する可能性がある場合、企業は加害者に対し刑事告訴を行うことができます。インターネット上の誹謗中傷で問題となる主な犯罪は以下の通りです。
| 罪名 | 概要 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 名誉毀損罪 | 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合。真実であるか否かは問わない。 | 3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金 |
| 侮辱罪 | 公然と人を侮辱した場合(事実の摘示がない場合)。 | 拘留または科料(2022年改正により厳罰化) |
| 信用毀損罪 | 虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損した場合。 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
| 業務妨害罪 | 虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の業務を妨害した場合。 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
刑事告訴は、警察や検察に対し犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求める手続きです。刑事告訴が受理され、捜査が進めば、加害者が逮捕・起訴される可能性があり、再犯防止に繋がる強いメッセージとなります。ただし、告訴には、犯罪の成立要件を満たす明確な証拠が必要であり、弁護士と連携して慎重に進める必要があります。
誹謗中傷対策にかかる費用の内訳と相場
企業の誹謗中傷対策には、様々な費用が発生します。主な内訳としては、弁護士に依頼する費用と、専門の対策会社に依頼する費用が挙げられます。これらの費用は、誹謗中傷の内容や規模、対策の段階によって大きく変動するため、事前に内訳と相場を把握しておくことが重要です。
費用が発生することを懸念して対策を後回しにすると、風評被害が拡大し、より大きな損害につながる可能性があります。初期段階での迅速な対応が、結果的に費用を抑えることにも繋がります。
弁護士に依頼する場合の費用
誹謗中傷対策を弁護士に依頼する場合、主に以下の費用が発生します。
- 法律相談料:弁護士に相談する際に発生する費用です。多くの事務所では初回相談を無料としている場合もありますが、一般的には30分あたり5,000円~1万円程度が目安です。
- 着手金:弁護士が案件に着手する際に支払う費用です。依頼の結果に関わらず返還されないのが原則です。
- 報酬金:依頼した案件が解決し、成功の度合いに応じて支払う費用です。成功の定義や金額は、契約時に弁護士と合意します。
- 実費:郵送費、印紙代、交通費、通信費など、案件遂行のために実際にかかる費用です。
これらの費用は、誹謗中傷の内容や対策の段階(削除請求、発信者情報開示請求、損害賠償請求など)によって大きく異なります。
着手金と成功報酬の目安
弁護士に依頼する際の着手金と成功報酬の目安は、具体的な手続きによって変動します。以下に一般的な相場を示します。
| 手続きの種類 | 着手金(税別) | 報酬金(税別) |
|---|---|---|
| 投稿の削除請求 | 10万円~30万円 | 10万円~20万円(削除成功時) |
| 発信者情報開示請求 (IPアドレス開示請求) |
20万円~40万円 | 10万円~20万円(開示成功時) |
| 発信者情報開示請求 (契約者情報開示請求) |
別途10万円~20万円 | 別途10万円~20万円(開示成功時) |
| 損害賠償請求 | 20万円~50万円 | 獲得額の10%~20% |
| 刑事告訴 | 20万円~50万円 | 10万円~30万円(立件、逮捕などに応じて) |
上記の金額はあくまで目安であり、案件の難易度や弁護士事務所の方針によって異なります。複数の手続きを並行して進める場合は、その分費用が加算されることになります。費用対効果を考慮し、弁護士と十分に相談して契約内容を決定することが重要です。
専門対策会社に依頼する場合の費用
誹謗中傷対策を専門とする対策会社(風評被害対策会社、逆SEO対策会社など)に依頼する場合の費用は、提供されるサービス内容によって大きく異なります。主なサービスと費用の目安は以下の通りです。
- ネット監視サービス:24時間体制でインターネット上の誹謗中傷を監視し、早期発見を目的とするサービスです。月額数万円~数十万円が相場です。
- 逆SEO対策:検索エンジンの上位に表示される誹謗中傷記事を、関連性の高いポジティブな情報で押し下げる対策です。キーワードの難易度や競合状況によって大きく変動し、月額10万円~50万円以上かかるケースもあります。
- 削除代行サポート:誹謗中傷投稿の削除を支援するサービスですが、法的な削除請求は弁護士資格が必要なため、対策会社は削除依頼のサポートや弁護士との連携を行う形が一般的です。成功報酬型で1件あたり数万円~数十万円が目安です。
- 風評被害コンサルティング:誹謗中傷対策の戦略立案やアドバイスを行うサービスです。月額数万円~が一般的です。
- 記事作成・広報支援:企業イメージを向上させるための記事作成や、広報活動の支援を行うサービスです。コンテンツの量や質によって費用は大きく異なります。
専門対策会社の費用は、サービス内容が多岐にわたるため、自社の課題に合ったサービスを明確にし、見積もりを複数社から取得して比較検討することが肝要です。月額契約が多い傾向にあり、長期的な対策には継続的なコストが発生します。
誹謗中傷対策の相談先と選び方のポイント
企業の誹謗中傷対策は、その性質や緊急性によって最適な相談先が異なります。状況に応じた適切な窓口を選ぶことで、迅速かつ効果的な問題解決につながります。
弁護士に相談するメリットとデメリット
誹謗中傷問題において、弁護士は法的措置を伴う解決を最も得意とする専門家です。削除請求、発信者情報開示請求、損害賠償請求、刑事告訴といったあらゆる法的手続きを一貫して任せることができます。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 法的対応 | 削除請求、開示請求、損害賠償請求、刑事告訴など、あらゆる法的手続きを代行できる。法的な証拠保全や交渉も専門的に行う。 | 手続きに時間と費用がかかる場合がある。 |
| 専門知識 | 誹謗中傷に関する最新の法律知識や判例に基づいた適切なアドバイスを受けられる。 | 弁護士によって得意分野が異なるため、ネット問題に詳しい弁護士を選ぶ必要がある。 |
| 証拠保全 | 将来の訴訟を見据えた確実な証拠保全方法について指示・実行を任せられる。 | 初動が遅れると証拠が散逸するリスクがある。 |
| 交渉力 | 相手方やプロバイダとの交渉を法的な根拠をもって進められる。 | 相手が不明な場合や海外サイトの場合、対応が複雑になることがある。 |
特に、加害者の特定や損害賠償請求を視野に入れる場合は、弁護士への相談が不可欠です。
警察に相談すべきケース
警察は、誹謗中傷が刑事事件に該当する場合に相談すべき機関です。民事事件には介入しないため、誹謗中傷が単なる不快な投稿に留まる場合は対応が難しいことがあります。
- 名誉毀損罪:公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合。
- 侮辱罪:事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した場合。
- 脅迫罪:生命、身体、自由、名誉、財産に対し害を加える旨を告知し、人を脅迫した場合。
- 業務妨害罪:虚偽の情報を流布したり、偽計を用いたりして、企業の業務を妨害した場合。
- ストーカー行為規制法違反:SNS等を利用した執拗なつきまとい行為や監視行為。
上記のような犯罪行為が疑われる場合は、警察に被害届を提出したり、相談したりすることで、捜査や犯人逮捕につながる可能性があります。証拠の保全は警察に相談する上でも非常に重要となるため、発見次第すぐにスクリーンショットなどを残しておくようにしましょう。
シエンプレなど専門対策会社に依頼するメリット
「シエンプレ」をはじめとする誹謗中傷対策の専門会社は、インターネット上の風評被害対策に特化したサービスを提供しています。法的な解決だけでなく、ネットの特性を理解した幅広いアプローチが可能です。
| 項目 | メリット |
|---|---|
| ネット監視・早期発見 | 24時間365日体制でのインターネット上の監視により、誹謗中傷や風評被害の兆候を早期に発見し、被害拡大を未然に防ぐ。 |
| 削除申請代行(任意) | サイト運営者への任意での削除依頼を専門知識とノウハウに基づいて実施し、削除の可能性を高める。 |
| 逆SEO対策・検索結果対策 | ネガティブな情報を検索結果の下位に押し下げ、ポジティブな情報を上位表示させることで、企業のブランドイメージを守る。 |
| デジタルタトゥー対策 | 一度拡散された情報を完全に消すことは困難ですが、長期的な視点で影響を最小限に抑えるための対策を講じる。 |
| 危機管理コンサルティング | 誹謗中傷が発生した際の広報対応や、再発防止のための社内体制構築に関するアドバイスを行う。 |
| 費用対効果 | 法的措置に比べて費用を抑えつつ、広範囲なネット対策を継続的に実施できる場合がある。 |
専門対策会社は、予防的な監視や検索結果の改善に強みがあり、弁護士と連携して法的な手続きを進めるケースも多く見られます。誹謗中傷が広範囲に及び、ブランドイメージの回復が喫緊の課題である場合に有効な選択肢となります。
将来の炎上を防ぐ予防的誹謗中傷対策
企業にとって、一度発生した誹謗中傷への事後対応はもちろん重要ですが、そもそも炎上や風評被害を未然に防ぐための予防策を講じることが、長期的なブランド価値維持と事業継続において不可欠です。ここでは、将来のリスクを低減するための具体的な予防策について解説します。
SNSやネットの常時監視体制の構築
インターネット上には、企業の評判を左右する情報が日々飛び交っています。誹謗中傷や誤った情報が拡散される前に早期に発見し、適切な対応を取るためには、SNSやネット上の情報を常時監視する体制を構築することが極めて重要です。
監視対象となる媒体は多岐にわたります。自社名、商品名、サービス名、役員名、従業員名、関連キーワードなどを設定し、定期的にモニタリングすることで、不適切な投稿や兆候をいち早く察知できます。
| 監視対象メディア | 主な監視内容 | 監視方法の例 |
|---|---|---|
| ソーシャルメディア(X、Instagram、Facebook、TikTokなど) | 企業名、商品名、関連キーワードの言及、ネガティブな投稿、誤情報の拡散状況 | キーワードモニタリングツール、AIを活用した感情分析ツール、専門業者による目視監視 |
| ブログ、個人サイト | 企業に関する個人的な意見、体験談、憶測、告発など | Googleアラートなどの検索エンジン通知機能、専門業者による巡回 |
| 匿名掲示板(5ちゃんねるなど) | 根拠のない噂、内部告発を装った情報、個人攻撃 | 専門業者による定点観測、キーワード検索 |
| レビューサイト(Googleマップ、食べログ、Amazonなど) | 商品・サービスへの不当な低評価、事実と異なるクレーム、従業員への誹謗中傷 | 各サイトの管理機能、専門業者による定期チェック |
| ニュースサイトのコメント欄、まとめサイト | 企業関連ニュースに対する世論、偏った意見、二次的な炎上 | キーワードモニタリング、専門業者による分析 |
監視体制の構築にあたっては、どのようなキーワードで、どの程度の頻度で、どのメディアを監視するかを明確に定める必要があります。また、発見した際の報告フローや、初期対応の担当者をあらかじめ決めておくことで、有事の際に迅速かつ適切に対応することが可能になります。
社内ガイドラインの策定と研修
誹謗中傷や炎上の原因は、外部からの悪意ある攻撃だけでなく、従業員による不適切な情報発信や、社内ルールが不明確なことに起因する場合も少なくありません。これを防ぐためには、明確な社内ガイドラインを策定し、全従業員に周知徹底するための研修を実施することが不可欠です。
ガイドラインには、SNS利用に関する基本的なルールから、機密情報や個人情報の取り扱い、著作権・肖像権の尊重、不適切な表現の禁止、そして万が一誹謗中傷を発見した場合の報告義務まで、幅広い項目を盛り込むべきです。
| ガイドラインの主要項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| SNS利用の基本原則 | 公私の区別、企業代表としての自覚、責任ある行動の徹底 |
| 個人情報・機密情報の取り扱い | 顧客情報、未公開の事業計画、社内情報などの外部発信の禁止 |
| 著作権・肖像権の尊重 | 他者のコンテンツ無断使用禁止、従業員や顧客の肖像権への配慮 |
| 不適切な投稿の禁止 | 差別的表現、ハラスメント、誹謗中傷、公序良俗に反する内容の禁止 |
| 誹謗中傷発見時の報告義務 | 自社や関係者に対する誹謗中傷を発見した場合の報告先とフロー |
| 広報担当者による情報発信のルール | 公式な情報発信は指定された担当者のみが行うことの徹底 |
ガイドラインを策定するだけでなく、定期的な研修を通じて、従業員一人ひとりの情報リテラシーを高め、具体的な事例を交えながらリスク意識を醸成することが重要です。これにより、従業員自身がリスクを認識し、適切な行動を取ることで、予期せぬ炎上や風評被害の発生を効果的に抑制することができます。
まとめ
企業の誹謗中傷は、売上低下、ブランドイメージ毀損、採用活動への悪影響、取引先からの信用失墜など、深刻なリスクを招きます。インターネット上の情報は拡散しやすく、放置は被害拡大を招きます。そのため、誹謗中傷を発見した際は、迅速な事実確認と証拠保全を行い、初期段階での適切な対応が不可欠です。
具体的な対策としては、サイト運営者への削除依頼から、発信者情報開示請求による投稿者の特定、そして民事上の損害賠償請求や刑事告訴といった法的措置まで、段階に応じた選択肢があります。これらの専門的な手続きは、弁護士やシエンプレのような専門対策会社に相談することで、効果的に進められます。費用はかかりますが、放置による損失を考えれば適切な投資と言えるでしょう。
また、将来的な炎上を防ぐには、SNSやネットの常時監視体制の構築、社内ガイドラインの策定と研修といった予防的対策も不可欠です。企業価値を守り、健全な事業活動を継続していくためにも、誹謗中傷対策は経営戦略の重要な一部として位置づけ、早期発見・早期対応、予防策の実施を徹底することが、企業の未来を守る鍵です。
※記事内容は実際の内容と異なる場合があります。必ず事前にご確認をお願いします